商業手形を支払期日前に現金化するには、利息を払わなければなりません
商業手形の現金化は、券面に記載された支払期日に実施することが原則です。
しかし、支払期日に先立って換金をしなければならないというケースもあり、その場合には商業手形割引という方法を取ることができます。
商業手形割引とは、利息を支払うことで支払期日よりも前に換金できるシステムです。
指定された支払期日までの日数をカウントし、それに利率or金利をかけた分を額面から差し引いて支払います。
一見理不尽に思われるシステムかもしれませんが、支払いを行う立場に立ってみると合理性があります。
つまり、本来であれば支払期日に発生する支払いに先立ち、先立つ日数分だけ受取人に対して貸し付けを行うという考え方です。
換金ではなく貸し付けですので、利息が適用されることが理解できるのではないでしょうか。
手形割引を実施する際には、利息の計算をきちんと行いましょう
ここでシミュレーションをしてみましょう。
ある取引で600万円の商業手形を受け取ったAさんでしたが、1週間後にどうしても現金を用意しなければならず、手形割引を利用することにしました。
利用している手形割引業者は割引率が8.5%、この時点で手形の支払期日までに67日が残されているとします。
割引業者のセールストークのなかで、すぐに手形割引を利用してもらえるのであれば、割引率を0.5%下げて8%にすると言われました。
この場合、当日のうちに割引をするか、あるいは1週間待って割引をするか、どちらがお得でしょうか?
当日割引をする場合:600万円×8%×67日÷365日=88,110円
1週間後に割引をする場合:600万円×8.5%×60日÷365日=83,836円
結果として、セールストークに乗ることなく、1週間待って割引をしたほうが、4,274円もお得であることがわかります。
このように、商業手形の割引においては、どのタイミングで割引をするかによって、結果が異なります。
利率の大小だけに惑わされることなく、きちんとシミュレーションを行うことが大切ですね。