知っておきたい、手形が資金に変わるまでのこと
商品の売買において約束手形を振り出されたとき、手形を受け取った側ではどのようにして資金化すればいいのでしょうか。
基本的には、約束手形などの商業手形の処理においては、券面に記載された支払期日までに振出人が決められた口座に入金をし、それをもって資金化されます。
手形を受け取った側は、これまでに取り引きのある銀行に対して取立依頼を行います。
依頼を行うにあたっては、手元にある手形の裏面に、会社名や住所、代表者の名前、取立を委任するという目的の記入、そして銀行への届出印を押印して、手形取立帳と一緒に提出します。
取立依頼を行うタイミングは、支払期日の数日前に行うのが適当とされています。
手形を受け取ってすぐに取立依頼を行うことはもちろん可能ですが、すぐに手続きを行ったからといって、取立のタイミングが早くなるといったことはありません。
取立依頼を受けた銀行などの金融機関は、手形交換所を訪れて手形の振出人の当座預金口座から額面分を回収し、ようやく手形が資金に変わるのです。
ただし、金融機関が代理で取立を行うことになりますので、どうしても取立手数料がかかってしまいます。
取立手数料を支払わずに手形を現金化する方法はないの?
これは誰しも考えることでしょう。
現金の代わりに手形を利用しただけなのに、それを再び現金化するために手数料を支払わなければならないのですから。
取立手数料を支払うことなく現金化する方法、それは手形の支払いを行う金融機関に取立を依頼することです。
このケースにおいては、手形を現金化するために手形交換所に赴く必要はありませんので、手数料が発生しないのです。
しかし、タイミングがずれるとこの場合でも手数料が必要となります。
厳密に言うと、支払期日の当日から2営業日後までの期間であれば、取立手数料はかかりません。
この3日間は手形呈示期間と呼ばれています。
ただし、支払いを行う金融機関が遠方にある場合には、いくらかの取立手数料を支払わなければならないケースが少なくありません。